悪い環境を打開する
生活環境が良くないのは、高血圧患者にとって決して好ましくありません。毎日の生活の中で、悲しみや怒りなどストレスがかかることで自律神経の交感神経が作用し、脈拍が速くなって血圧は上がります。
健康な体のためにも悪い環境は改善していかなければなりませんが、自然環境をとってみても、個人の力で改善していこうというのは難しい話です。しかし、自分の身のまわりの環境を変えることは、工夫次第では可能です。身のまわりのストレスを取り払い自分自身の環境を少し変えるだけでも血圧が下がることはあります。
環境の悪さは、家庭だけでなく職場にもあるでしょう。仕事をしている人にとっては職場の環境の悪さは、なかなか逃れられないものかもしれません。一般的なサラリーマンなら、上司にしろ部下にしろ、複数の他人とかかわらなくてはならないのですから、自分の思うように事は進まず、イライラも募ります。
こういった状況を繰り返していては、高血圧を改善していくのには無理があります。そこで、職場の環境が自分にとってどうにもならないくらい悪いという場合、可能であれば、思い切って職場を変えるというのもひとつの方法です。
仕事をセーブする
私たちの体では、血圧は、体を動かしている時は上がり、休ませている時に下がるのが普通です。休んでいるのに血圧が下がらない、ということであればどこか病的ともいえます。
デスクワークのような精神労働では、肉体労働とは違い、疲労が少なく血圧もそれほど上がらないように思われがちです。しかし、肉体労働のほうがエネルギーの消費が多いというだけであり、思考や記憶などを必要として精神的な緊張が高まり、精神労働でも意外に血圧が上がります。これは精神労働にみられる生理的現象ですが、特に、細かい作業をする人や細かい文字に接することが多い人は、眼精疲労も伴って、血圧が上昇することが考えられます。
仕事をして血圧が上がるのが当然だとはいっても、血圧が高くなるのは心臓にかかる負担が大きくなることでもあり、血管や腎臓にも悪影響を及ぼすので、高血圧の人の場合、簡単に見過ごせません。血圧の高い状態が続いたりすると、心臓や血管も機能を回復しない状態が続くことになって、さまざまな症状や障害を起こすことがあります。それらを回避するためにも、血圧が高い人の労働について、次のようなことに注意しましょう。
- 休息をじゅうぶんにとる。休息によって血圧を下げ、心臓や血管の機能を回復させることが大切。
- 長時間働いて長時間休むより、仕事の間に時々休憩をとるほうが効果的。
- 血圧が高い人は、低い人と比べて活動的なので仕事に打ち込みやすいが、自身の体の状態を自覚し、適当にセーブする。
一生懸命仕事をするのは大切なことですが、全力でやるのは血圧の安定のためには良くありません。そして、セーブするというのは手を抜くという意味ではなく、余力を残して働くのが理想です。