皮膚摩擦、指圧療法など
高血圧の治療には、薬を使って治療する薬剤療法(化学療法)と物理療法があります。物理療法というのは、光線や熱などのエネルギーの働きを利用して病気の治療や予防をしようとする方法です。これらは、ほとんどの場合、皮膚を介して行われるのですが、皮膚に刺激を与えることによって、循環機能の障害などを改善していこうというものです。
高血圧の治療では物理療法が行われることはあまりありませんが、次のようなものを利用した方法もあります。
皮膚摩擦
皮膚の摩擦療法には、乾いた布で皮膚をこする乾布摩擦と、しぼった冷水タオルで皮膚をこする冷水摩擦があります。皮膚を摩擦するのには、皮膚の抵抗を増すほかに末梢血管を拡張させ血行を良くする効果があります。風邪の予防や体力をつけるのには効果的ですが、高血圧の程度の重い人には向いていません。
指圧
指圧は一種の刺激療法ともいえます。素人(しろうと)でもできることですが、信用できる施術者にやってもらうのがよいでしょう。こちらは、老齢者にはあまり向いていません。
鍼、灸
鍼は機械的な刺激、お灸は温熱的な刺激ですが、鍼とお灸は原理的には同じで、バランスのくずれた自律神経系を刺激することで調整していきます。循環機能の障害を改善できるので、高血圧に有効です。
陰イオン
正または負の電気を持つ原子をイオンといい、電解質を水に溶かすとイオン化します。この溶液を電気分解するときに陽イオンと陰イオンが発生するのですが、このうち陰イオンを吸収すると高血圧に効果があるといわれています。それを利用し、人工的につくられた陰イオンを吸収する治療があります。効果は人によって違いがありますが、副作用がありません。
高周波
高周波電流の熱作用を利用した温熱療法です。
入浴・温泉療法
一般に広く知られているように、入浴には血行を良くする効果があります。特にリウマチ性や腎性の高血圧の人が、ぬるめのお湯に入るのが良いとされています。注意が必要なのは、重症の高血圧症の人や心臓に障害のある人で、入浴によって症状が急変することがあります。
入浴自体は良いことですが、入浴後に冷気にさらされたりすると危険があることも頭においておきましょう。
温泉療法では、やはり、血行を良くする、利尿作用を促進する、新陳代謝が活発になる、温泉に含まれている成分の科学的作用がある、などが期待できますが、温泉の泉質や病気の症状の重さなどによって効果は違います。